前回のブログで、「北京五輪への挑戦を終えて」の気持ちを印しましたが、その中で生活や仕事の問題についても触れさせていただきました。
おそらく、トップ選手の一部を除き、オリンピックを目指す多くのスポーツ選手は、このような問題や不安を抱えていると思います。
一時期流行ったクラブハウスでも、多くのアスリートの現状を知りましたが、正直、自分は恵まれている方だなと感じました。
今回は、「自分がどのような仕事をして生きているのか」「今の選手生活の現状をどのように感じているのか」「最後に自分の意見」を書いていきたいと思います。
自分所属会社はこんなところ
軽井沢を拠点とする「プリモ・フィールドマネジメントグループ」です。
観光業を中心に、ゴルフ、レンタサイクル、飲食、宿泊など幅広く事業を行っています。
「(株)プリモ」「(株)フィールド・マネジメント」「(有)昭山ホテル」の3社いずれも大雲芳樹社長がグループ会社として運営しています。
「その先の、自然へ」をスローガンとしてかかげ、会社設立10周年を記念し、軽井沢への地域貢献として、チームスポンサーとカーリング選手の受入をしてくださっています。
本当に感謝です。
自分の仕事内容
自分は、夏は「ゴルフ事業」冬は「レンタルスキー事業」に関わってきました。
観光業がメインのため、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた昨年は、公務員だった自身の経験を生かして、補助金の申請なども行いました。
大会や合宿以外は通常どおりの勤務です。
(ただし、夏場の仕事の繁忙期は、大会ではなく仕事を優先する場合もあります。)
働き方と給料については、入社時に会社とクラブと自分の3者により決まった形です。
感じていること 2つ
「会社への感謝」と「プロ以外は厳しい」です。
「会社への感謝」
自分はアスリート採用だったこともあり、夏以降はカーリングを優先させるスケジュールを組ませていただきました。1年目はGWや夏の仕事の繁忙期は大会を断念することもありましたが、昨年新型コロナウイルスで観光業が大変な状況の中でも、しっかりと雇用を守っていただきました。
「プロ以外は厳しい」
自分はスポーツ選手と言いつつも、半分は会社員としての労働収入です。スポーツだけに打ち込む理想と、現実は全く違うものです。性格的に全て全力でやりたいので、仕事とカーリングをどうバランス良く行うか、エネルギー配分や時間配分がとても難しいと感じます。また、オリンピックに出場して「プロ」になりたいと思い、「プロ意識」で取り組んできましたが、現実は「スポーツをすることに対する対価」だけでは生活できませんので、全ての時間をスポーツに打ち込める「プロ=仕事」を将来的に考えて進むか、「労働収入」を組み入れながら、より良い形を考えて進むかという葛藤があるというのが率直な感想です。
これからスポーツ選手になりたい方へ
自分は数多くいるスポーツ選手の中でもちょっと変わった「元公務員アスリート」です。特に安定や生活に対する感覚は敏感で、仕事としてのスポーツ選手の在り方についての意識は高いと思っています。
スポーツ選手は一般的に選手寿命は短いことに加え、カーリングを含めたアマチュアのオリンピック種目は、4年に1回大きく注目され、「オリンピックに出場してメダルを獲る」事が唯一の成功とも言えると思います。
夢のある職業ですが、生活やお金の問題を抱えているスポーツ選手も多いという現状があります。
カーリングはその中でも恵まれていると思いますが、スポーツ選手には選手寿命があり、「プロ」選手として活動するなら、その間に普通のサラリーマンよりも多く稼ぐことも考えないといけないと思います。
また「プロ」ではなく、会社にサラリーマンとして所属するなら、労働時間が一般の社員とは違うので、会社が自分に何を求めているのか、どうやって会社に貢献できるのか、それによって会社からいくらの報酬を頂くのが適切か、よく考えてから所属しないといけないと考えています。
「夢」がある一方「現実」も、よく考える必要があります。
カーリングの欧米の選手は、自分で仕事を持ちながら競技を続けている方も多いです。また、コロナがきっかけで、在宅ワークやフリーランスの方が増えていると思います。スポーツ選手のあり方は今後さらに変化・多様化していくと思いますが、オリンピックの時(4年に1回)注目されるようなスポーツ種目においては、選手個人が自分自身で稼ぐ力を持つことも、今後必要になってくるのかもしれません。
「現実(生活面・経済面・競技に打ち込めるかなど)」を自分でよく分析して、「夢」を実現できる方法を選ぶことがとても重要なのかなと思います。
コメント